宝石と鉱物の私見ブログ

YAHOOから移ってきました。

宝石の鑑別

こんにちは。
今日は先回のルビーのお話に関係があります。ちょっと辛口のお話なので不愉快な方は読み飛ばして下さい。
先回、数ある赤い石のなかからどういう経緯で今ルビーとよばれている石をルビーとしたのか不思議に思っているというお話をしました。
こんなことを言い出した動機は、鉱物種と宝石名の同定の問題は現代でもあるからなのです。実は最近のヒスイの鑑別書には「他種成分の含有を認む。」のコメントがついていることが多いのです。最近の研究でヒスイと呼ばれる宝石の緑はほとんどがオンファサイトという別の鉱物が原因であることがわかってきたからです。従来鑑別機関では緑の着色原因はクロムであるとしてきました。これに対し糸魚川市の博物館の学芸員である宮島先生は緑の部分はオンファサイトであるとずいぶん前から指摘されていたのですが、鑑別機関ではヒスイの緑色はクロムによるものであると強弁していました。ここにきてデータがそろいごまかせなくなってきて対応を変えたようです。
オンファサイトのことを他種成分含有などとあいまいにコメントするようになったのです。ヒスイの緑の原因≒オンファサイトであり、ヒスイそのものではないのですから宝石名はどうなるのでしょう。
緑色のビルマヒスイのルースについて以前成分分析した結果は、Caが2.4%含まれ、Crはなんと0.0015%、それに対してFe1.22%でした。つまりオンファサイト成分がかなり多く含まれていて、これでは単純にヒスイとは呼べませんね。オンファサイトとヒスイの固溶体なのですから少なくとも鉱物種にはそのことを書くべきではないでしょうか?
もちろん、こんなことは石の美しさを楽しむにはなんの関係もありません。